あの夏の日、私は男友達との一線を越えた。
そうしよう、と思っていたわけじゃなかった。成り行きでそうなってしまったから、あ、…まあいいか、と流されただけ。
別に、好きでもなんでもなかった。
その人は大学の同級生だった。
普通に仲は良かったと思う。身長はそれなり、鍛えていて顔も良い方。彼女持ち。髪型や服装にも気を遣っている。成績と運動能力はそこそこ。趣味に全力投球するタイプで、アイドルの追っかけに熱量をかけている人だった。
彼を異性として意識したことはない。私は同じコミュニティ内の別の男が好きだったし、彼の推しのタイプが私と真逆なのを知っていた。彼は普通の友達で、砕けた話ができる仲良し。感覚では弟にも近かった。
そういうわけで、卒業までの数年、本当に何もなかった。だから卒業後も友達相手の感覚のまま、飲もうぜ、とノリでLINEして、もち、とホイホイ飲みの計画を立てた。
そうして久々に会って、彼の彼女と上手くいっていない悩みを延々と聞き、私の意見を言い、2人でぎゃあぎゃあ盛り上がった。1次会を終えて2次会、さてどうしようもっと話したい、なら家が近いから寄ってく?と私は軽いノリで誘ってしまった。マジで何も考えていなかった。OKした彼を伴い、コンビニで戦利品を調達して一人暮らしの我が家へ雪崩込み、そこからはお酒片手に、私の高校の卒アルを挟んで顔が良い女の子論議である。この子が可愛い、あの子が可愛い、とひとしきり盛り上がり、待てよもう終電ねえじゃん、まあじゃあ風呂入ろ服貸すわ、とそれぞれ入浴し、いざ寝るという段。